中国政府は、6月5日午前、中国湖北省荊州市
監利県の長江で起きた大型客船「東方之星」が
転覆したことについて、97人が帰らぬ人になってしまったと
発表しました。
また、大型クレーン船での船体吊り上げ作業を行い、
逆さま状態だった船体は、作業開始後2時間ほどで
180度転回し、もとの姿勢に戻されました。
救出された人数は、乗客乗員456人のうち14人のまま、
翌日からほとんど変わらず。
交通運輸省報道官は生存者がいる可能性について、
絶望視する見方が濃厚になっています。
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難航する捜索活動
発生から72時間が経過した4日までに、
救助当局は船内に閉じ込められている乗客らの
捜索を行うとしており、船体に穴を開けて
捜索活動を続けていましたが、生存者はおらず、
その後船体の吊り上げを決定。
これまでにも断続的に降る雨や、
霧で視界が遮断されるなどの悪天候に見舞われ、
川の流れも速くなっており、捜索が難航している
状況が続いていました。
4日夜に予定していた船体の吊り上げ作業の開始についても、
ワイヤーロープの不具合や、水上に立ち込める深い霧の
影響などで5日に持ち越しに。
今後は船内の水を取り除き、行方不明者の捜索作業を
引き続き行う方針です。
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事故の原因と中国当局の報道規制
原因について、救助された船長と機関長を拘束し
取り調べていますが、明らかにされているのは、
竜巻に遭遇したということのみ。
一方で1994年の建造後、客船の一部改造が
施されていたという報道もあり、中国政府は
船の構造に問題がなかったかも調べを進める方針です。
中国の船舶に対する検査は定期的に行われることに
なっており、同船は今年3月に検査を受けたばかりでした。
また、メディア関係者によると、一部メディアだけが
今回の現場に近づけており、中国当局は報道規制を
強化していると見られています。
過去に2011年に起きた高速鉄道事故の際、国内メディアに
比較的自由な取材を認めると、政府の対応に市民の不満が
高まった過去があり、情報公開の在り方が問題視されていました。
今回の転覆事故も、多くのメディアに原因が
深く追求されると、「人災」の批判が強まり、
行方不明者家族や国民の不満が高まることを
懸念していると見られています。