過去1年で2.5倍にも急騰していた
中国株式市場に異変が生じたのは7月。
7月3日までの3週間での下落率が29%と、
1992年の日本バブル崩壊以来の下落幅を記録し、
約半数に及ぶ上場銘柄が売買停止になってしまう
「異常事態」が発生。
8月25日には前代未聞の下落を受け、
大幅な追加緩和が行われ、
日本を含むアジアの市場にも影響を与えました。
あれから1か月、
中国株式市場は今、どうなっているのでしょうか?
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これまでの中国政府の施策
3週間で-29%と大幅な下落に慌てた中国政府は、
翌4、5日に緊急対策を発表。
《対策その①》
・信用取引の資金を貸し出す証券金融会社に対し、中国人民銀行が無制限で流動性を供給。
・政府系ファンドによるEFT(上場投資信託)購入。
・需給を悪化させる新規株式公開(IPO)の一時停止。
・証券会社21社による1,200億元(約2兆3000億円)のEFT(上場投資信託)購入。
の、大きく4つの対策を掲げます。
「中国資本市場の決定的なタイミング(上海証券報)」
と銘打ち7月6日、国家の威信をかけた総力戦と、
力を注ぐも株価を押し戻すにはいたりませんでした。
8月に入っても市場は変わらず、
不安定な展開を見せる市場動向に、
中国人民銀行は8月25日、
さらなる追加金融緩和策を講じます。
《対策その②》
・銀行向けに1400億元(約2兆6000億円)の供給。
・9月初め以降、銀行の預金準備率の引き下げ。
人民銀行の利下げへの踏み切りを受け、
株式相場は大きく乱高下。
その結果、上海株式市場は
週明け2日間で15%以上の値下がりを見せ、
東京株式市場では日経平均が反発、
前日比3.2%高の1万8376円83銭で取引を終え、
オーストラリア0.7%、韓国2.6%の値上がり
アジア諸国や米国の市場にも影響が広がる事となりました。
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今後の施策と海外への影響は?
27日の上海総合指数 は一時0.7%安、
取引終盤にかけて急伸し5.3%高で終了しました。
長期続落に歯止めがかかったかと思われましたが、
アメリカの某国際証券のセールス・トレーディング
責任者はこう話します。
「中国政府は
市場とのコミュニケーションが
うまくとれていない。
投資家は中国の一貫しない対応に
イラ立ちを感じている」
市場介入で中国の優良銘柄を購入し、
株を買い支える中国政府の措置は、
外国人投資家の中国離れを引き起こしていて、
国際通貨基金(IMF)は中国政府に対し、
最終的にはそのような措置を解除するように
中国に促している状況です。
中国は、優良銘柄を購入し、
株式相場下支えへの介入を再開しましたが、
一方で、追加金融緩和策での利下げによる、
人民元の急落を防ぐ対策も急がれています。
事情に詳しい関係者の話によると、
9月3日に開かれる国内の大きな記念行事を控え、
政府は一刻も早い市場の安定化を望んでいる一方、
利下げ導入による人民元急落対策に必要なドルを、
中国が保有する米国債を売ることで調達したと
明らかにしました。
27日の上海市場での人民元は、
0.08%高の6.4053元で終了し、
3.1%の月初来安値。
*中国外国為替取引システム(CFETS)による。
アメリカの某債券ストラテジストは
「中国が今後6か月の間に
大量の米国際を売りに出す可能性があり、
それを考えると、
今後の中国の動向によっては、
米国債相場の見通しは
大きく変わるだろう」 と、話しました。
今回の中国株価暴落は、
株価だけでなく、外国国債や為替市場にも
大きな波紋をよんでいます。
今の中国株式市場は?
中国の株式市場で上海総合指数は続伸し、
政府が株価下支えを図り、28日の上海総合指数は、
前日比4.8%高の3232.35で終了しました。
前日の27日は引けぎわに急伸し、
5.3%高で引けていますが、
この指数は6月に付けた高値を
依然として37%下回った状態です。
CSI300指数は工業株や資源株、
テクノロジー銘柄を中心に値上がりを見せ、
4.3%高で取引を終えました。
中国最大の石油・ガス会社であるペトロチャイナは、
(中国石油、601857 CH)は4.1%高で、
2015年上半期(1~6月)決算は
前年同期比63%減益となりましたが、
原油高がいい感じに働き、
減益幅を補填する形になりました。
製油事業でアジア最大手の
中国石油化工(SINOPEC、600028 CH)や
鉄道車両メーカーの中国中車(601766 CH)も
評価が高くまずまずの推移を見せています。
上海在勤のセールストレーダーは
今の中国市場の現状をこう話します。
「政府系ファンドが株式を購入し、
相場を支援しているという
噂は拭いきれないものがある。
25日の大掛かりな調整後も、
株価下落は行き過ぎだと
国内外の投資家も気付き始め
政府の施策に一定の不信感を
感じているのは明らかだ」
やはり、中国株の暴落の余波は
もうしばらくは続きそうです。
株価だけでなく、
為替や外国国債までもを巻き込み、
波乱を含んだ様相は隠せませんが
しかし、この株価の乱高下だからこそ
むしろそれを逆手に取り、
チャンスへと変換する。
今がそのタイミングなのかもしれませんね。