2月23日午後3時10分ごろ、北海道・新千歳空港から
福岡へ飛ぶ予定だったJAL飛行機のエンジンから
煙が発生し、乗っていた165人が緊急脱出しました。
国土交通省は今回の件を重大インシデントと認定、
23日夜には航空事故調査官4名が原因調査のために
空港入りしています。
なぜこのようなことが起きてしまったのでしょうか?
実際の画像とともに詳しくご説明します。
Sponsored Link
異臭と右エンジンからの煙
今回の件を起こしたのは新千歳空港発福岡行きの
日本航空3512便、ボーイング737型機。
この便は午後2時34分に旅客ターミナルを出発し、
離陸のために滑走路に向かいましたが雪が強まったため
一旦ターミナルへ引き返そうと大きくUターン。
その後エンジンを切り、再着火しようとしたところ爆発音が聞こえ、
機内に煙が流れ込んだため午後3時10分ごろ、
4本の脱出シューターによる緊急脱出の措置を取ったとのことです。
その後消防車などが8台出動し対応にあたりました。
乗客によると客室内では何かが焦げたような異臭がたち込め、
具合を悪くした乗客もいたようです。
緊急避難をした乗客の中には、吹雪の中薄着での脱出を
余儀なくされた人も。
また、脱出の際に腰を痛めるなどして67~74歳の女性3人と
22歳男性の計4人が病院に運ばれました。
JALは翌日24日午前8時15分に臨時便を出し、この便に乗る予定だった
乗客たちを午前11時ごろ福岡へ無事に送り届けました。
Sponsored Link
なぜ今回のような事故に?
本件が起こった原因を、JALは「吹雪によるエンジンの不完全燃焼」と解釈。
ジェット機のエンジンは吸気口から取り込んだ外気を圧縮し、
燃料と混ぜて燃焼させますが、雪が吸気口にたまると空気を十分に
取り込むことができず、不完全燃焼が起きる可能性があります。
当時、新千歳空港は吹雪に見舞われ、吸気口の周りなどには
雪が付着していたことからも、今回のトラブルの原因は吹雪によるものだと
みられています。
23日に空港入りした事故調査官たちは到着後格納庫にて機体を確認、
24日午前から空港内当時の状況や対応などを機長や副操縦士、
客室乗務員らから事情聴取。
エンジンを中心に、機体の調査も行っています。
2/25調査状況
24日から調査が始まったボーイング737型機。
調査にあたった向優美主管調査官によると、右エンジンに
空気を取り込むファンに氷が付着していたことが発覚。
氷の付着は目視で確認し、「いつ着氷したのか分からないが今後、
天候状況も併せて調査していく」として、天候と事故の関係について調べる方針です。
エンジン内部のブレードなどに損傷はありませんでした。
※詳しい原因については明らかになり次第加筆いたします。
パイロットの判断は適切?
JALの元機長で航空評論家の樋口さんによると、
「緊急脱出の様子を見る限り、乗客は落ち着いて避難しており
パイロットの判断は適切だった」とのこと。
パイロットが最も恐れるのは飛行機の火災、そしてパニックに
陥った乗客がけがをするケース。
乗客が落ち着いて安全に避難できるよう誘導できた今回のケースは
適切な判断が下されていたと言えるようです。
雪国だからこそ起こってしまったと思われる今回の件ですが、
JALは1月29日に福岡空港にて離陸走行中の飛行機の左エンジンからの
火災発生も起こしています。
どちらも乗客に被害はありませんでしたが、相次ぐトラブルに
日本を代表する航空会社であるJALの信用が揺らいでしまうのではないでしょうか。
脱出シューターでの避難方法
皆さんは飛行機に乗る際、避難方法の案内をしっかり読んでいますか?
もしも脱出方法を理解しないまま、こういった不測の事態に巻き込まれてしまった場合
脱出の際にけがをしてしまう恐れがあります。
飛行機の脱出シューターでの避難方法をご紹介しますので、
頭の片隅にでも留めておいていただければ幸いです。
機内から脱出シューターで逃げる場合、画像のように両手両足を前に伸ばし、
つま先は真上にして手は握り拳を作ります。
この時、やや前傾姿勢をとりましょう。
もし前傾せずに後ろに倒れていると、シューターから出る際に
腰から地面に落ちてしまいケガをする危険性が高くなります。
地面につくと補助役の方が脱出をサポートしてくれます。
この脱出サポートは非常口付近に座っていた方が担当する場合もあります。
立ち上がったら後続の方の邪魔にならないよう速やかに離れましょう。
また、シューターに座って滑り降りるよりも、
出口で軽くスキップする程度のジャンプで飛び乗り、
先ほどの姿勢をとるのもポイント。
座ってから滑るよりもスピードがつき、迅速な避難が可能になります。
勢いがつき過ぎてしまうので、あまり強くジャンプしないようにしましょう。
また、脱出の際は手荷物は持たないように。
自分の荷物を持って逃げたい気持ちはとてもよくわかりますが、
間違っても上のトランクに預けた荷物を取り出そうとしてはいけません。
自分だけではなく、全体の避難が遅れる原因にもなります。
万が一の際はひとりの犠牲者も出ないよう、みんなで助け合って
避難することが大切ですね。