7月1日よりサービス開始した、
東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)が
提供する無料の動画配信アプリ、「エムキャス」を
ご存知でしょうか?
これは、スマートフォンやタブレット端末に
ダウンロードすると、TOKYO MXの番組を
テレビ放送と同時にインターネット上で、
全国どこでも見放題なアプリです。
アプリのダウンロード数は、初日に
想定していた3万ダウンロードを超え、
11万ダウンロード以上。
提供開始から10日ほどで
23万8000ダウンロードを超えました。
App Store(アップストア)での
ダウンロード数順位は一時、2位にまで上昇、
「LINE MUSIC (ライン ミュージック)」に
次ぐダウンロード数となりました。
エムキャスがここまでヒットした理由とは
いったいなんだったのでしょうか?
Sponsored Link
ヒットのカギ
TOKYO MXの番組がどこででも見放題になる
アプリ、エムキャス。
ツイッター上には「エムキャスは地方民の
救世主だ!」との書き込みが。
TOKYO MXは夜10時から深夜1時台にかけて、
アニメ番組を毎日6~7番組放送する充実ぶりが
特色の放送局で、アニメ好きの若年層に人気があります。
しかし、地上波では視聴可能なエリアが
東京都及び関東圏の一部(約1,430万世帯)と限られており、
地方では視聴できないアニメファンもいました。
それを「エムキャス」によって全国どこでも
視聴可能になったことにより、視聴可能なエリア以外の
「地方民」の方々に支持された結果となったのです。
エムキャスのメリット
エムキャスのメリットは他にもあるようです。
デジタルコンテンツ開発部の茅根部長はこう語ります。
「全国で視聴されるなら出てもいい、
という出演者の方が増えるかもしれない。
キャスティングにも幅が出る」。
テレビ離れが進む10~20代の若年層にも、
無料アプリでの配信なら、その層に人気のアニメ番組が
充実しているTOKYO MXの番組を見てもらえ、
またアプリをダウンロードするときに、
性別や生まれた年、住んでいる地域の情報を入力するため、
視聴者の傾向をデータとして収集し、
今後の番組制作に活用できるとしています。
しかし、放送番組をネット配信などで使用する場合、
出演者、音楽、原作、関連映像、写真の著作権者などの
承認が新しく必要となり、しかもどこか1つでも承認を
得られなければその番組はネット配信できないという
厳しい制約も。
現在は各権利者団体に実証実験に協力してもらうという形で、
配信できる番組を増やしている段階です。
スポンサーの許可を得たCMはテレビ放送と同じものを
流していますが、広告料を上乗せして取り立てることは
していないそうです。
茅根部長は「朝の帯番組『モーニングCROSS』を
配信できるようになれば、朝の通学・通勤時間に
全国の若年層の視聴者を取り込むことができる」と
意気込んでいます。
TOKYO MX
TOKYO MXは独立放送局の中でも後発組で
1995年に開局しました。
ある社員は、社員数が100人程度の自社を
「身軽で小回りが利き、他とは違ったことに
挑戦しやすい会社」と言います。
開局にあたっては、東京都や東京商工会議所
などの意向がありました。
当初は番組枠の編成を東京地域のニュースを
メインにしていましたが、現在では3%程度を
出資する東京都の存在感は、週2回の
『東京都知事定例会見』の番組枠に
その面影を残すだけに。
クロスメディア推進部の服部部長は
「TOKYO MXのインターネット配信への取り組みは、
エムキャスと4K映像配信の2本立てで進めていく」
と発言しています。
超高精細な4Kの膨大な映像データは、
現在のところ地上波放送では実現できないそう。
そこで同局は、インターネットを介し、
地上波放送と通信をひとつにして映像コンテンツを
楽しむことができるハイブリッドキャスト対応のテレビで、
地上波放送の映像、そして通信経由での4K映像が
切り替わる仕組みを考案し実証実験を行っています。
Sponsored Link
いつでもどこでも見られる
インターネットなら全国同時に一斉配信ができ、
それは現在の放送内容が都道府県で区切られている
地上波放送とは異なったものです。
地上波放送は定められた時間にテレビの前に
いなければ見ることができない、その不便さを
ネット配信を通じて解消していこうとするTOKYO MX。
キー局のようなしがらみがなく、身軽で小回りが利き、
ほかとは違ったことに挑戦し続けるテレビ局が
テレビの存在意義を変えていくかもしれません。