近年よく聞く言葉となった「ゆとり」。
最近ではゆとり世代を取り扱ったドラマ
「ゆとりですがなにか」が放送され始めましたね。
若い世代の方が何かやらかしてしまうと
「これだからゆとりは…」と言われることもしばしば。
でもその「ゆとり」、実際どの世代がゆとりなのか、
どんな教育形態だったのかご存知でしょうか?
ゆとり教育によって生まれた「ゆとり世代」について
詳しくご紹介しましょう。
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ゆとり世代とは
ゆとり世代とは、ゆとり教育を受けた世代のことを指します。
競争心がない、協調性がない、野心がないなど、
教育改正による悪影響を受けた世代と呼ばれることも多く、
ゆとりという言葉にあまり良いイメージはありません。
一般的にゆとり教育を受けた世代は
1987年4月2日生まれ~2004年4月1日生まれ
とされています。
現在12~29歳の方が当てはまりますね。
ゆとり教育は1970年代、日本教職員組合が「ゆとりある学校」
を提起したことにより発足した教育方法であり、これまでの
詰め込み式の教育方法よりも、経験を重視した教育方法を
推進するものでした。
このゆとり教育により学習指導要領の改定がなされ、
1980年に初めての施行。
「ゆとりと充実を」「ゆとりと潤いを」をスローガンに、
授業時数の削減・教科指導を行わない「ゆとりの時間」実施が
行われました。
そして1990年代に入ると、ゆとり教育はさらに加速。
1992年には第2土曜日が休日になります。
さらに2002年、授業が週5日制となり、土日は完全なお休みに。
学習量はさらに減り、ゆとり世代の語源ともいえるのがこの時代です。
これまでのような画一教育ではなく、こどもたちひとりひとりを
それぞれの頑張りで評価し、「関心」「意欲」「態度」を基とした
個人内評価的「絶対評価」を導入したゆとり教育は、
こどもたちにとってのびのびと学習ができる良いものになるはずでした。
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ゆとり世代の終焉
しかし2004年、OECD生徒の学習到達度調査などの結果が
思わしくなく、日本の学力低下が問題視され始めます。
その3年後、さらに点数が落ちたことを受け、
安倍晋三首相の下「教育再生」が掲げられることに。
これにより、ゆとり教育を脱する流れになり始めます。
路線変更を行ったことにより2008年には学力低下がストップ。
その後は総合学習や選択教科の時数を減らし、
小学校5~6年に新しく「外国語」の時間を設けるなど
グローバル化に向けた方向性を示しています。
さらには竹島・尖閣諸島などの領土問題や自然災害など、
今まで教科書で取り上げていなかった部分にも着目。
こどもたちの学力向上を目指して、
ゆとり教育は今捨て去られようとしています。
授業時間推移
1961 | 1971 | 1980 | 1992 | 2002 | 2011 | |
小学校 (単位時間45分) |
5821 | 6135 | 5785 | 5785 | 5367 | 5645 |
中学校 (単位時間50分) |
3360 | 3535 | 3150 | 3150 | 2940 | 3045 |
ゆとり世代の苦悩
現在ゆとり教育を受けた世代が世の中の中心を担う年齢となり、
そのことから今まで以上に「ゆとり」が問題視されるとみられています。
職場でちょっとしたミスをしてしまうとすぐに「ゆとり」と言われ、
差別用語のように扱われることに心を痛めている人も多いようです。
ことあるごとに「ゆとり」と言われ続けることで強い精神的苦痛を感じ、
中には仕事ができなくなってしまう方も。
しかしそれすらも「ゆとりだからすぐめげる」の言葉で
片付けられてしまう風潮があります。
確かに問題行動を起こしてしまうゆとり世代もいるのですが、
何でも「これだからゆとりは…」と言ってしまうのはいかがなものでしょうか。
肩身が狭くつらいゆとり世代の気持ちも少し汲んであげてくださいね。