現役最高齢の歌舞伎俳優、中村小山三(なかむら・こさんざ)さんが
4月6日、虚血性心不全のため東京都内の病院で息を引き取りました。
94歳まで舞台に立ち続け、また中村屋最古参の弟子として
中村屋を支え続けた中村小山三さん。
その生涯を振り返ってみたいと思います。
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4歳で歩み出した歌舞伎への道
中村小山三さんの本名は福井貞雄(ふくい・さだお)さん。
4歳の頃、三代目中村米吉(後の十七代目中村勘三郎)に師事して
歌舞伎界へと足を踏み入れました。
初舞台は1926年、中村小米の名でデビュー。
その後、中村蝶吉、中村しほみの名を経て1959年に
二代目中村小山三を襲名しました。
古参の女形として中村屋を支え続け、
師である十七代目勘三郎から
絶大な信頼を受けていました。
一般家庭から歌舞伎に入った人は、お弟子さんを経験するとなり、
ほとんどの場合は役者にあがることはなく後見・黒衣として
役者の衣装や小道具などを補助し、脇役として舞台に立ちます。
本来ならば観客の拍手を浴びることはないはずだった中村小山三さん。
主な仕事は中村勘九郎(現在33歳)・七之助(現在31歳)兄弟のお世話係でした。
テレビのドキュメンタリー番組にて、まだ幼い頃の
中村勘九郎・七之助兄弟を献身的に世話する姿が映されたことで
話題となり、70歳にしてようやく日の目を浴びました。
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中村家になくてはならない「中村家の宝」
歌舞伎俳優の中村勘三郎と中村七之助は
今回の訃報を受けて所属事務所を通してコメントを発表。
彼らの祖父である十七代目、そして父である十八代目と、
二代に渡って「中村勘三郎」を陰から支え続けた中村小山三さんを
「中村家の宝」と表現し、追悼の意を表しました。
4月6日、私達の初舞台の時よりいつも近くで
見守り力になってくれた中村小山三が94歳で安らかに眠りました。彼はいまから90年前、4歳の時に中村家に入門し、
長きにわたり祖父・父・そして私達を常に支えてくれていた中村家の宝です。今はただ感謝の気持しかございません。
これからも祖父や父とともに私達を
見守ってくれていると信じ舞台に精進致します。中村勘九郎 中村七之助