低カロリーで栄養価と満腹感に優れた果物として知られるバナナ。
そんなバナナに、食卓から消えるかもしれない危険が迫っていることを
ご存知でしょうか?
バナナの不治の病「新パナマ病」によってアジア地域の
バナナ生産が脅かされようとしています。
この聞きなれない「新パナマ病」について調べてみました。
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バナナの木を枯らす「パナマ病」
「パナマ病」とは、バナナが枯れたり黒ずんだりする病気のこと。
病原菌はカビの一種であるフザリウム。
バナナの木の根っこにフザリウムが感染すると、いずれ木を殺してしまう
「萎凋(いちょう)」を引き起こすそうです。
https://www.dole.co.jp/
パナマ病に侵されたバナナの幹は画像のように黒くなり、腐ってしまいます。
今回の「新パナマ病」の名前の通り、「旧パナマ病」も存在します。
「旧パナマ病」は1950年代に流行していたグロス・ミシェルという
甘くてクリーミーなバナナの品種を襲い、農家に大打撃を与えました。
元来バナナには種がありましたが、ある時変化が起こり種のない果物に。
そのため、株分けによって数を増やしていきます。
それはすなわち交配がないため、どのバナナもまったく同じ遺伝子であるということ。
いわばクローンのようなものですね。
病気に対抗できるように品種改良も行われていないため、
フザリウムに弱い性質を持っていたグロス・ミシェル種は、
この旧パナマ病のために1960年代にはほぼ全滅しました。
しかもパナマ病の菌株は農園の土壌全体に蔓延するため、
農園は最高で40年に渡り汚染されることになってしまいます。
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バナナの主力はキャベンディッシュへ
続いて世界に広まったのはキャベンディッシュ種と呼ばれるバナナ。
現在世界中で広く食べられているバナナはほとんどがキャベンディッシュ種です。
味はグロス・ミシェルには劣りますが、パナマ病への耐性が強く、
困り果てていた多くの農家たちを救いました。
しかし、近年「新パナマ病」と呼ばれる新たなバナナの病気が発見。
1990年に台湾で初検出され、インドネシアやフィリピン、豪州北部の農園を全滅させました。
また、中東、アフリカ、豪クイーンズランド州の農園にも感染が広まり、
バナナ業界の脅威となっています。
新パナマ病に対抗できるバナナを開発するためには、
様々な遺伝子を交配させて新たな性質を見つけることが必要。
なので、原点に戻りかつては種があったバナナを育てて交配させることが
重要なのですが、種なしバナナと種ありバナナを交配させても種ができるのは
100万本にたった3粒のみ。
現在では研究が進められ、新パナマ病に強い品種を生み出すことに成功しましたが、
味が非常にシンプルなので、よりおいしいバナナになるよう改良がすすめられています。
日本への影響は?
現在日本に輸入されるバナナの大半はフィリピン産。
近年干ばつや「新パナマ病」の影響で、フィリピン産バナナが値上がりし始めたことを
きっかけに、青果物販売大手のドールは安定供給のため、2016年春から
エクアドル産バナナの本格輸入も始めています。
新パナマ病によってバナナの供給が減れば、さらなる価格高騰は避けられないでしょう。
もしかするとバナナが高級果物と呼ばれる日が来てしまうかも…?
そうならないためにも、バナナを研究されている方々にぜひ頑張って
バナナを守る方法を見つけてほしいところですね!