7月7日、山形大人文学部付属ナスカ研究所(所長・北川忠明学部長)は、
南米ペルーの世界遺産「ナスカの地上絵」で、
新たに24点に及ぶラクダ科のリャマが描かれた地上絵を
発見したと発表しました。
同研究所は過去にもリャマが描かれた地上絵を17点発見しており、
今回発見されたものも合わせて計41点、これだけの地上絵が
集中的に描かれている地域は他にありません。
またこの地上絵群が描かれている近くには、市街地が迫っており、
宅地開発などによる破壊の危険性が高く、地上絵の保護を訴えています。
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発見された場所
今回発見された地上絵は、同研究所が13年度に発見した
リャマの地上絵が描かれていた同じ場所で、
ナスカ市街地から1.5キロメートルほど離れた
アハ地区にある丘の斜面に描かれていました。
新たに発見された24点は、全長が約5~20メートル、
丘の小石を面的に取り除く方法で描かれており、
描かれた時期としては、パラカス後期
(紀元前400~同200年頃)ではないかと推察。
これは有名な地上絵「ハチドリ」よりもサイズは小さく、
古い時期に描かれたことになります。
また、これまでの地上絵は人里離れた場所に多く描かれていました。
今回、初めて居住地の近くで多くの地上絵を発見したことにより、
当時の人々の信仰や、地上絵との繋がりなどに関する仮説を
変えていく必要がありそうです。
描かれた地上絵「リャマ」
17点にも及ぶ地上絵が発見されましたが、絵の多くは
頭部の耳の形や4本の脚など描かれていることから、
ラクダ科の動物リャマと考えられています。
当時からリャマは家畜として飼育されており、
荷物の運搬に用いられてきました。
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地上絵を見るには?
ナスカの地上絵を見るには、セスナに乗って、
上空から眺めるのが一般的です。
天気がよければ、キレイに見ることができます。
地上にも、観光客が立ち入ることができる区域は
ありますが、厳しく制限されています。
しかし、それらを守らない人がエリア内に不用意に
入り込んだり、車を乗り入れ駐車したりすることで、
地上絵の一部が破壊されています。
リャマの地上絵など、今回発見された場所は市街地に近く、
いまだ保護地区への指定には至っていません。
今のままだと、不用意に立ち入ったり、地上絵と
認識されないまま宅地開発により破壊されしまう危険性も。
最近では、エルニーニョ現象の影響で、雨の
ほとんど降らなかったナスカ平原周辺にも
雨が降る日が増えており、雨が小川となって
平原に流れ込み、地上絵ともども地表を
削り取り、深刻な被害を与えています。
過去から受け継いだ大いなる遺産、
そのままの形で未来へと渡していくために、
何らかの策を講じる必要がありますね。