2015年度のノーベル医学・生理学賞に選ばれた
中国の屠ユウユウ氏。
自然科学分野では初めての受賞に、中国国内からは
賞賛の声が寄せられています。
また、「純粋な中国人としては初めての受賞」とも
言われている今回の受賞。
いったいどういうことなのでしょうか?
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マラリア治療の研究
今回ノーベル医学・生理学賞を受賞した屠氏が
行っているのはマラリアの治療に有効な薬の研究。
屠氏は大革命期からこの研究を行っており、
当時は既存の薬に耐性を持ったマラリア原虫が
発生した時期でした。
従来の治療薬では効かなくなってしまったために、
中国政府が国を挙げて新たなマラリア治療薬の
開発に取り組みました。
この中で、屠氏はプロジェクトの重要なメンバーに
選ばれ、中国の古典医学を研究。
200種類の植物から380種類にも及ぶ物質を
抽出させ、新たなマラリア治療薬
「アーテミシニン」の開発に貢献しました。
この「アーテミニシニン」は現代も他の
治療法とともにマラリアに非常に効き目が
あるとして、必要不可欠とされている物質。
この世界的な貢献が評価され、今回屠氏の
受賞へとつながりました。
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真の中国人では初の受賞
中国国内では、今回の屠氏のノーベル賞受賞は
「真の中国人として初の受賞」と言われ、
屠氏の栄光が称えられています。
近年でも中国人からは2010年に民主化活動家・
劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞。
さらに2012年には作家の莫言氏が文学賞を受賞しています。
にもかかわらず、「中国に真の科学者はいない」と
自虐的な声が中国ネット上には多く聞こえました。
その理由は、中国本土の科学者がノーベル賞を
受賞できていない状況だったため。
そして今回、屠氏が博士号や海外留学経験を
持たず、学士院会員でもない「三無教授」
であることが分かり、中国国民は「本当の意味で
中国人が初めてノーベル賞を受賞した」と
心から喜んでいます。