26日より開催されている伊勢志摩サミットにて、
安倍晋三首相は「現在の世界経済は
リーマンショック前と似ている」と発言。
平成29年4月に予定していた消費税10%への
増税を先送りする可能性を示唆しました。
現在の世界経済がリーマンショック前と似ているとは、
一体どういうことなのでしょうか?
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安倍首相が危惧するリーマンショック
三重県志摩市の賢島で開幕した伊勢志摩サミットにて、
各国の首脳は午後2時前から昼食をとりながら
世界経済成長に向けた貢献策など、最初の討議に臨みました。
この中で安倍首相が「現在の世界経済はリーマンショック前と
似ている」と発言したことが話題になっています。
安倍首相はかねてより消費税再増税先送りの条件として
「リーマンショック級の状況」ということを発言していましたが、
現在はそのリーマンショック前と似ているのだそうです。
その理由として原油、食料などといった商品価格の
2014年以降の下落率が2008年のリーマン・ショック前後と同じ
55%に達し、新興国への資金流入がリーマンショック後としては
初めてマイナスになったことを挙げています。
原油価格推移(年次)
リーマンショック前後の日経平均株価
近年3年間の日経平均株価
「リーマンショック直前に北海道洞爺湖サミットが行われたが、
危機の発生を防ぐことができなかった。
その轍(てつ)は踏みたくない。世界経済はまさに分岐点にあり、
政策的対応を誤ると危機に陥るリスクがあることは認識する必要がある」
世界経済の軌道修正を訴えた安倍首相。
各国首脳も世界経済の現状認識については概ね一致したものの、
一部首脳からは「危機という表現は強すぎる」といった意見が出されました。
リーマンショック級の何かが起こらない限り予定通り
消費税増税を行うとしている安倍首相。
現在リーマンショックを危惧しているということは、
増税先送りの可能性が高いとみても良いのではないでしょうか?
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リーマンショックとは?
そもそもリーマンショックとは何のことなのか?
2008年9月、アメリカのリーマンブラザーズという
大手証券会社が破たんしたことにより起こった大不況のことを
リーマンショックといいます。
通常ならば大手とはいえ1企業が破たんしただけでは
起こり得ないような世界的な大不況が起きてしまった原因は、
サブプライムローンと呼ばれる住宅ローンが原因のひとつに
ありました。
サブプライムローンは、信用力が低い人たち向けの住宅ローン。
通常は高額なためしっかり返済ができるとみなされた人しか組めない
住宅ローンを、高金利・返済が滞ったら家を売却して返済すると
いう約束でローンを組むものです。
このローンはお金のないフリーターやアルバイトでも
家が購入できると言うことですごく人気のある方法でした。
そしてこのローンに目を付けたのが投資銀行や金融機関。
サブプライムローンを証券化してさらに多くの企業などへ
販売することを思いついたのです。
万が一返済が滞った場合のリスクは、信用のある通常の住宅ローンと
セット(プライムローン)にしておき、カバーするつもりでした。
この証券化されたサブプライムローンはアメリカで大ヒット。
しかし、景気が悪化するにつれて雲行きが怪しくなり始めます。
景気悪化で土地と家の価格が下がり、職を失う人も増え
返済が滞る人が増えてきました。
家を売っても買い手がつかず、値段を下げて処分するほかありません。
そうなると赤字が増え、サブプライムローンを売り出した
金融機関は大きな赤字を抱えることに。
この現象がアメリカ中で起こりました。
アメリカ中が大パニック
さらにサブプライムローンはリスク分散のために様々な金融商品に
混ぜて証券化されていたため、どの証券が赤字要素を含んでいるか
分からない状態。
投資家たちは怪しいと思った金融商品を一旦全て投げ売ることにし、
金融業界はパニックに陥ったのです。
金融機関は経営破たんするところも増え、巨大企業である
ベアースターンズが破たんした際には国に与える影響が
大きすぎると判断されアメリカ政府が救済。
このことから国に大きな影響を与えてしまう大手企業なら
救済されるだろうと誰もが思っていましたが、
次に破たんした大手企業リーマンブラザーズは
救済されませんでした。
リーマンブラザーズの社員は職を失い、株はただの紙に、
リーマンブラザーズに貸したお金は帰ってこず不良債権が生まれ、
アメリカの金融業界は連鎖的に経営破たんを起こしました。
また、銀行がつぶれたことで融資を受けていた企業も
次々に破たん。
アメリカで起きたこの現象は国内のみではおさまらず
密接に関わっていた世界経済へも影響を及ぼし、
100年に一度の大不況と呼ばれました。
これが「リーマンショック」です。
安倍首相はこのリーマンショックが日本で起こることを
危惧し、消費税増税の先送りを示唆しています。
経済の失速=アベノミクスの失敗ととられることを
不安に思っているようにも見えるこの決断、
今後の経済状況にも注目していかねばなりませんね。