6月4日午後に行われた衆院本会議にて
全会一致で可決した公職選挙法改正案。
選挙権を持てる年齢を「20歳以上」から
「18歳以上」に引き下げるための法案です。
今後は参議院に送付され、
今国会で成立される見通しになりました。
公布から1年を周知期間にしており、
早ければ来年の夏の参院選から適用されそうです。
そもそも今回の改正案、
どのような背景から浮上したのでしょうか。
また、「18歳は成年か」。
この議論についてどのように考えていけば
良いのでしょうか?
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議論の発端は憲法改正のための国民投票法
今回、選挙権年齢の引き下げが実現するのは、
この国民投票法改正に後押しされたためのものです。
国民投票法とは、正式には
「日本国憲法の改正手続きに関する法律」。
これまで具体的にされていなかった
憲法改正の手続きを定め、2007年に成立しました。
憲法改正に必要な手続きは、憲法96条で
定められており、衆参議院でそれぞれ
総議員3分の2以上の賛成で国会が発議し
国民に提案、その承認のために、
国民投票または国会の選挙の際に行われる
投票において、過半数の賛成が必要とされています。
ところが、ここでいう「国民」の定義が
されておらず、長年疑問視されていました。
この「国民」の想定範囲の審議で、「憲法改正の
国民投票は18歳以上」という決定がなされました。
この決定を受け、公職選挙法も
18歳以上に改正すべき、と国会が
方針を変更することになりました。
衆院憲法審査会事務局の資料によると、
191の国・地域のうち9割以上が18歳以上
(16・17歳も含む)に選挙権を与えており、
すでに国際基準であることがわかります。
最近の日本は、特に若い世代の投票率の低迷が
問題になっているため、将来を担う若者が、
次世代の日本を主体的に考え、政治に対して
関心を高めるには良いきっかけにはなりそうです。
同時に教育現場では、政治の仕組みの説明や
投票への参加をどう働きかけていくか、
主権者としての教育の進め方が課題になっています。
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18歳は成人か否か
「20歳をもって成人とする」と定められている
民法4条においても、必然的に改正の議論があがっています。
さらに、
・飲酒・喫煙はいいの?
・犯罪者名は公表されるようになるの?
・結婚は親の同意がなくてもできるの?
・クレジットやローンなどは自由に契約していいの?
・裁判員に選任される可能性が出てくるの?
など、民法だけでなく、少年法や未成年者飲酒禁止法、
未成年者喫煙禁止法、児童福祉法、競馬法など、
成人年齢に定めがある関連法が多数ある中、
その引き下げについての検討は賛成・反対意見が
拮抗しており、慎重に議論していく必要がありそうです。