7月13日、天皇陛下が生前に皇太子さまに天皇の位を譲る
「生前退位」の意向を示されていることが発覚しました。
このニュースは「近代日本で前例がない」と海外でも広く取り上げられています。
天皇陛下が生前退位を望まれた理由は「憲法に定められた天皇の務めを
しっかり果たせるものに皇位を譲りたい」というお気持ちが強まったためとされています。
御年82歳を迎えながらもご公務を大切に務められている天皇陛下。
数年以内の譲位を望まれているとのことです。
天皇陛下の生前退位が成立した場合、
次の元号などは一体どうなるのでしょうか?
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生前退位とは
日本の天皇制度は終身制であり、天皇の崩御とともに
天皇の位が譲渡され年号が変わるのが一般的。
しかし昔は生前退位は珍しいことではなく、昭和天皇まで
124代の天皇のうち、半数近くが生前に皇位を譲位し、
生前退位を行っていたそうです。
明治時代以降は天皇の譲位はなくなり、1817年の光格天皇以降は
約200年間譲位は行われていません。
現在の憲法や皇室典範では皇位の譲位は認められておらず、
さらに退位についての記述もないため、天皇陛下のご意向通り
生前退位を行うには、皇室典範の改正が必要となるでしょう。
また、現在定められていない退位後の陛下のお立場、
敬称など、さまざまな問題も発生してくるため
皇室典範の改正には国民的な議論が必要となり、
改正を成立させるのは容易ではないとされています。
海外での生前退位の例
海外では皇室と親交の深いオランダ王室のベアトリックス女王が2013年に
「新しい世代に国を任せる」と退位なされたケースがあり、その後
皇太子が即位なさっています。
また、ベルギー王室も2013年に79歳の国王アルベール2世が
「自分が望む職務を果たせなくなった」と退位、皇太子が即位しました。
英王室でも1936年、エドワード8世が離婚歴のある米国人女性と
結婚するため在位1年に満たずに退位しています。
こうしてみると、世界的には生前退位は珍しいことではないようにも思えますね。
生前退位が成立するとどうなる?
もしも天皇陛下が生前退位されて皇太子さまが即位されると、
皇室典範8条「皇嗣たる皇子を皇太子という」
(天皇の跡継ぎとなる天皇の男子が皇太子)という規定から、
現在の東宮家に男子の子どもがおらず、皇位継承順2位の
秋篠宮さまは弟であるため皇太子が不在になります。
皇位の継承順位は
1.皇長子
2.皇長孫
3.その他の皇長子の子孫
となっているため、皇太子さまが即位されれば
次の継承者は3が当てはまることになるでしょう。
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元号の決め方
もしも本当に天皇陛下が生前退位を望まれておられる場合、
気になってくるのは次の元号。
この元号は一体どのように決められているのでしょうか?
元号に関する決まりは1979年に「元号法」が公布されましたが
実際には具体的な手続きは決まっておらず、同年の閣議報告の形で
公表されました。
その後1984年に一部改正され、以下のような形をとられています。
1.漢文学や国文学関連の大学教授ら有識者が候補を考案
2.内閣官房長官が選定
3.閣議で協議
4.国民を代表する形で衆参両院議長の意見を聞く
5.閣議で決定
ちなみに1989年1月の新元号「平成」制定の際は
1.昭和天皇の病状悪化を受け、内閣の担当者の協議開始
(おそらく1988年末ごろ)
2.1月7日、現天皇がご即位
3.有識者8名で「元号に関する懇談会」を開催。
当時の小渕官房長官が三つの原案を提示。
4.衆参両院の正副議長に意見を聞く
5.総理官邸で閣議を開き、「平成」を閣議決定
このような流れで制定されたそうです。
生前退位のご意向は事実無根?
今回、天皇陛下が宮内庁関係者に生前退位のご意向を
示された理由としては、「憲法に定められた象徴としての
務めを十分果たせる者が天皇の位にあるべきだ」という
天皇陛下のお考えによるものとされています。
しかし、宮内丁の山本次長は天皇陛下が生前退位の
ご意向を示されたことについて「そのような事実は一切ない」と否定。
「陛下は制度的なことについては憲法上の立場から
話すことを控えられてきた。今後も一貫して同じご姿勢だ」と、
今回のご意向が事実無根であることを語りました。
また、天皇の生前退位が認められない理由について、
宮内庁次長は2001年にこんなことを述べていました。
1.政治的思惑の中で歴史上見られたような上皇や法皇の存在が
弊害を生む恐れがある
2.天皇の自由な意思に基づかない退位の強制があり得る
3天皇が恣意(しい)的に退位する懸念がある
実は皇室典範には摂政を置くことができるとの規定もありますが、
1.天皇が成年に達しないとき
2.天皇が精神もしくは身体の重患または重大な事故により、
国事に関する行為をみずからすることができないとき
とあるため、現在の天皇陛下には当てはまりません。
現状では生前退位されるのはかなり難しいのではないでしょうか?
それでももし天皇陛下が本当に数年以内の生前退位を強くお望みならば、
近いうちに正式発表があることと思います。
今のところは宮内庁からの発表を待つしかありませんね。