7月8日、「異常事態」が発生した中国株。
中国株式市場において、なんと約半数に及ぶ
上場銘柄が売買停止になってしまったのです。
証券取引所には、株価下落を恐れた企業から、
次々と自社株の売買停止の申請がなされました。
8日時点において売買が停止された銘柄は
1400を超え、その数は全上場企業の半数を超える、
まさに「異常事態」となりました。
これにより、これ以上の株価下落はないと
見込まれていましたが、上場企業の
約半数の株が売買できない中、
株安は止まりません。
売りは取引可能な株に集中する格好と
なり下落、期待された抑止には
なりませんでした。
そして7月27日、中国株は再び8%もの下落。
投資家たちの懸念が高まる中、8月25日の
下落を受けてさらなる追加緩和が行われました。
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中国株暴落の波紋
7月8日、米ニューヨーク株式相場は、
ギリシャの債務問題や中国株の下落が
続いたことにより反落。
優良株で構成するダウ工業株30種
平均は1万7515.42ドル
(前日終値比261.49ドル安)と
約5カ月ぶりの安値を付け、
ハイテク株中心のナスダック総合指数は
4909.76(同87.70ポイント安)と
こちらも3カ月ぶりの安値となりました。
8日の中国市場では上海の株価指数が
一時8%安となるなど下落が続いており、
中国実体経済や米経済への悪影響が懸念され、
米市場でも売りが誘われたようです。
また、日本を含むアジアの市場にも影響を与えました。
日経平均株価の下落は3%を超え、
2万円の大台を大きく割り込みました。
また香港ハンセン指数が6%下落、
台湾加権指数も3%を超える下落となります。
リスク資産である株式などのポジションを
減らす動きが速まっています。
熱狂とバブルの崩壊
6月12日、中国市場の上海総合株価指数は
7年来の最高値をつけます。
それからわずか1カ月後にはその値を3割も
下落させてしまったのです。
3月11日以降、上海総合株価指数は上昇を続け、
過去7年で最高となる値を連続して更新していました。
当時、人々の関心を引いていたのは、
すでにピークを過ぎた不動産市場に代わり、
日々急上昇し続ける株式市場で、
多くの人が株取引にのめり込んでいきました。
一方で多くの経済学者は中国人が
株取引に熱狂する様子を心配し、
中国の株バブルはまもなく破裂すると
絶え間なく警告を発していたのです。
6月12日の最高値をつけた後でさえ、
多くの新規投資家が参入していきました。
しかし、その日を境に株価は下落に転じ、
投資家に大きな損失を与えることに。
この1カ月足らずで株式総額1兆5000億人民元
(30兆円)が失われました。
この金額はギリシャのGDPの10倍に相当します。
中国政府の対策は?
この事態に中国政府も株価下落を抑える
対策を打ち出しています。
中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は急遽、
証券会社へ融資を行っている金融機関に対して
資金繰りの支援を表明しました。
また中国国有企業の監督当局も、
相場安定策として、国有企業の上場子会社の
株主による株式の売買を禁止することを通達。
保険監督当局も、保険会社による株式投資の
上限額を引き上げることを発表しました。
しかし、このように政府が次々と打ち出した対策は、
その場しのぎ的な対策が中心であり、
「その裏には何があるのか」と、逆に市場の不安を
抱かせているという見方もあります。
7月27日、再び急落へ
27日、中国株は8%を超える大きな下落を見せました。
8%という大幅な下落は2007年2月以来の約8年ぶり。
きっかけは明らかとなっていませんが、
売買停止となっていた銘柄が再開され、
溜まっていた売りが解消されたためとの
見方が出ています。
市場では中国経済の減速への懸念が
高まっており、中国株の下落が
世界的な株安の連鎖に繋がる
状況になるのではと心配する声も
あがっています。
8月、さらなる追加緩和へ
8月25日、中国市場は大幅な下落で取引を
終え、終値は2014年12月以来の安値を
つけました。
前日24日に上海株が8%を超える下げを
記録したにも関わらず、中国当局は新たな
対策を打ち出さなかったために投資家たちの
不安が高まったようです。
これを受け、26日に中国人民銀行が
追加利下げを発表しましたが、株安に
歯止めはかからず。
上海総合指数は前日まで4営業日連続で下落し
(現地時間午前10時40分現在)、4日間の
下落率は1996年以来の大きさとなりました。Sponsored Link
日本への影響
日本の80年代のバブル、米国のITバブルや
住宅バブルなど、世界では過去もバブル崩壊を
経験してきました。
今回、なぜこのような被害拡大を食い止めることは
できなかったのでしょうか。
中国は日本にとって最大の輸出相手であり、
日本国内でのインバウンド消費を支えています。
その中国の経済状態は日本にとっても
注視していく必要があります。
8月25日の東京株式市場は世界的な
株安連鎖を受けて終値が前日よりも
733円98銭安い1万7806円70銭に。
半年ぶりに1万8000円を割り
高値と安値が1000円超えの差と、
値動きが荒くなりました。
専門家の見解によると、このまま中国の
経済が大きく落ち込むようであれば、
日本への影響も無視できないだろうとのこと。
注意深く見守っていく必要がありそうです。