7月1日、富裕層対策として
「出国税(Exit Tax)」が導入されました。
対象は1億円以上の金融資産を持つ富裕層で、
国外に居住地を移す際に、株式などの含み益に
課税するという内容です。
ほとんどの人には無縁ですが、アベノミクス効果の
恩恵で利益を手にし、海外に移り住もうと
考えているお金持ちの心境には少なからず
変化が生じるかもしれませんね。
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出国税ってどんなもの?
「出国税」とは、国内に5年以上居住していた人が
海外に移住する場合、株式や投資信託などの有価証券、
金融派生商品を対象とした取引(デリバティブ取引)
といった金融資産に対し、転出時に譲渡・決済したと
みなして資産の含み益に特例的に課税するという制度。
この制度は日本独自のものではなく、アメリカ、
カナダ、イギリス、フランス、ドイツなど欧米諸国でも
すでに採り入れられております。
課税方法は?
まず国内で株を売買した場合の課税は
どうかというと、株などを売買して得た差益
(キャピタルゲイン)には20%の所得税が
課税されます。
一方、「出国税」とは、株を保有したまま
国外に転出する際に、実際に株を売却していなくても、
売却したものと捉えてキャピタルゲインに
国税分の15%が課税されるものです。
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出国税導入のいきさつは?
これまでは「日本人が海外に移住して日本の
株式を売却しても、キャピタルゲインに対する
課税権が原則として日本になく、居住国にある」
との租税条約がありました。
それはすなわち、日本から富裕層が巨額の含み益を
持ったまま、キャピタルゲイン非課税の香港や
シンガポールに移住し、売却するといった課税逃れが
可能だったということ。
そんな富裕層の資産フライトを阻止しようとするのが
今回の「出国税」の狙いです。
今年1月から所得税の最高税率が40%から45%に、
相続税も50%から55%にそれぞれ引き上がりました。
さらにマイナンバーの導入で、資産と所得が把握されるようになり、
富裕層向けの徴税が強化されていることがわかります。
こうした増税を回避しようと海外移住を計画していた
お金持ちにとって、「出国税」は、新たな悩みの種になりそうです。